遠山競輪研究所

競りレースを徹底調査( 2021/05/14 )

「競りがあるレースでは展開が読みづらく、どうも手が出しにくい」という方も多いと思います。
今回は過去の競りレースを分析してその特徴を調べ、競りレースの車券戦術についても少し検討しました。
競りが予測されるレースの車券予想にお役立てください。

以下目次項目

1. 競りの定義と過去レースの調査期間

ここでは目標選手の後位で2人以上の選手が周回中から併走となるケースを「競り」とし、レースが動き出して先行体勢に入るラインに対しての飛び付き(イン粘りや追い上げ行為)」とは区別します。

また、以降における「過去レースの分析データ」は、2018年7月 ~ 2021年2月 の2年8ヶ月分のレースを調査対象としています。

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2. 競り発生率

競り発生率(=競りレース数 ÷ レース数)は下表のとおりで、2.2%でした。
表の( )内はGamboo予想情報のページに記載されている選手コメントを基にした「並び予想」上での競りレース数・発生率です。こちらの競り発生率は1.7%だったので、「選手コメントでは明言されなかったが実際のレースで競りとなったケース」が0.5%程度あります。
(なお以降の調査の「4. 5. 6. の項」では「7車立ておよび9車立て」のレースのみを調査対象とし、「5. 6. 7. の項」では「番手競り」のレースのみ〈3番手以降の競りレースは対象外〉を調査対象としているので、各項の競りレース数は下表値と若干違っています)

表2-1. 競り発生率
調査期間対象レース数(※1)競りレース数(並び予想上)競り発生率(並び予想上)
2018年7月 ~ 2021年2月56,8511,270 (974)2.2% (1.7%)

※1) 対象レース数 --- 競りが発生しないガールズ戦を除いて、調査期間中に成立したレース数です。

上表の「クラス別」および「車立て別」の内訳は下表のとおりです。
クラス別ではチャレンジ戦が競り発生率は最も高く、車立て別では 8・9車立てより 5・6・7車立てのほうが高くなりました。共に意外な結果でした。

表2-2. クラス別・車立て別の競り発生率
内訳クラス / 車立て対象レース数競りレース数競り発生率
クラス別S級戦  16,5773732.3 %
A12班戦 26,7025292.0 %
チャレンジ13,5723682.7 %
車立て別5・6・7車立て29,8017202.4 %
8・9車立て 27,0505502.0 %

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3. 競りレースでは落車率・失格率は高くなるのか?

ここでは、落車率、失格率、落車・失格率を次のように定義します。

  • 落車率 =落車発生レース数 ÷ レース数
  • 失格率 =失格発生レース数 ÷ レース数
  • 落車・失格率 =落車または失格発生レース数 ÷ レース数

調査期間のガールズ戦を除く「全レース」と、「競りレース」で各比率を集計したのが下表です。
やはり競りレースでは落車率や失格率は高くなることがわかります。特に失格率は各クラスとも通常の2倍以上となります。

表3-1. 落車・失格率
クラス調査期間の全レース競りレース
レース数落 車 率失 格 率落車失格率レース数落 車 率失 格 率落車失格率
S級戦  16,5776.7 %4.4 %8.4 %37311.5 %9.1 %14.5 %
A12班戦 26,7024.0 %2.8 %5.4 %5299.1 %6.2 %11.7 %
チャレンジ13,5722.8 %3.4 %5.0 %3685.4 %7.1 %10.3 %
合計値 56,8514.5 %3.4 %6.2 %1,2708.7 %7.3 %12.1 %
ポイント1:競りレースは失格率が倍になる!

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4. 競りレースでは高配当が多くなるのか?

「競り無しレース」と「競り有りレース」の2車単および3連単の配当を比較調査しました。
調査期間のガールズ戦を除く「7車立てレース(6車以下含まず)」と「9車立てレース(8車以下含まず)」で配当比較した結果が 表4-1 および 表4-2 です。

両表で2車単・3連単の中央値・平均値は「競り有りレース」のほうが低くなっています。
表中の「1番人気の割合」は2車単及び3連単のオッズ1番人気で決着したレースの割合です。7車立て・9車立ての2車単・3連単の全てで「競り有りレース」の方が若干低い値となっています。配当の中央値・平均値は「競り有りレース」のほうが低いのですが、1番人気決着が多いという訳ではないようです。

7車立てでは2車単・3連単の配当がそれぞれ
「5千円以上」「2万円以上」を高額配当、9車立てでは2車単・3連単の配当がそれぞれ
「1万円以上」「5万円以上」を高額配当とみなして、その割合も表内に記載しました。これも両表で「競り有りレース」のほうが低くなっています。
「競り有りレース」では力上位の自力選手が存在することが多く(その選手の後位が競りとなる)、かつ先行一車等その自力選手が展開有利に勝つケースが多いので、配当は低くなりがちであり、高額配当も多くはないようです。

表4-1. 7車立てレースの配当データ
 競り無し
レース
競り有り
レース
7車立てレース数28,042664
2車単
配当
中央値860 円690 円
平均値2,400 円2,078 円
1番人気の割合27.2 %26.6 %
5千円以上の割合11.9 %8.4 %
3連単
配当
中央値3,530 円3,220 円
平均値12,310 円11,146 円
1番人気の割合12.7 %12.6 %
2万円以上の割合14.4 %11.5 %
表4-2. 9車立てレースの配当データ
 競り無し
レース
競り有り
レース
9車立てレース数25,835531
2車単
配当
中央値1,655 円1,320 円
平均値4,450 円3,430 円
1番人気の割合19.5 %18.4 %
1万円以上の割合10.4 %9.0 %
3連単
配当
中央値8,630 円8,040 円
平均値31,279 円29,912 円
1番人気の割合8.0 %6.7 %
5万円以上の割合14.7 %13.9 %

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5. 競りの目標となる自力選手の勝率・連対率は高いのか?

競りの目標となる自力選手は、先行一車だったり、力が抜けていたりして車券としては人気となることが多いのですが、実際に勝率・連対率は高いのでしょうか?
調査期間のガールズ戦を除く「7車立てレース(6車以下含まず)」と「9車立てレース(8車以下含まず)」で、競りの目標となる自力選手の単支持率(※2)別の勝率・連対率を全選手のそれと比較した結果が 表5-1 および 表5-2 です。

7車立て、9車立てとも競りの目標となる自力選手の勝率・連対率は相当高くなることが分かります。

※2) 単支持率 --- 2車単オッズから算出した1着支持率です。

表5-1. 7車立てレースでの勝率・連対率
単支持率対象期間の全選手競りの目標自力選手
選手数勝 率連対率選手数勝 率連対率
1位28,70652.4 %71.2 %55675.0 %88.1 %
2位28,70620.9 %50.2 %6043.3 %71.7 %
3位以下143,5305.4 %15.8 %2931.0 %48.3 %
表5-2. 9車立てレースでの勝率・連対率
単支持率対象期間の全選手競りの目標自力選手
選手数勝 率連対率選手数勝 率連対率
1位26,36640.4 %59.1 %36054.2 %71.9 %
2位26,36621.1 %43.4 %8224.4 %42.7 %
3位以下184,5625.5 %14.0 %8116.1 %28.4 %

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6. 競り合う選手の勝率・連対率は低いのか?

周回並び:

   35
←124 67 8 9

周回並びが上図であった場合、ここでは選手位置を、

目標の自力選手
-- 1番選手
競り込まれ選手
-- 2番選手(競り合う2人のうち、目標の自力選手との地区が近いほうの選手)
競り込み選手
-- 3番選手(競り合う2人のうち、目標の自力選手との地区が遠いほうの選手)
競り不参加選手
-- 4,5,6,7,8,9番選手
目標の自力選手
-- 1番選手
競り込まれ選手
-- 2番選手(※1)
競り込み選手
-- 3番選手(※2)
競り不参加選手
-- 4,5,6,7,8,9番選手

※1) 競り合う2人のうち、目標の自力選手との地区が近いほうの選手

※2) 競り合う2人のうち、目標の自力選手との地区が遠いほうの選手

とします。
なお周回並びでは4番と5番も併走ですが、4番は2番追走、5番は3番追走とみなして競り選手とはしません。(併走の先頭のみを競り選手とする)

調査期間の競りレースで、各位置の選手の勝率・連対率をまとめたものが 表6-1 および 表6-2 です。
両表とも左側は該当する全選手の勝率・連対率、右側はそのうち力上位の選手に限定した場合の勝率・連対率です。
ここでの力上位とは、「レース内のG指数最上位選手とのG指数差が 3.0点未満」に該当する選手としました。

「選手位置による勝率・連対率の違い」を比較するには、「脚力差による勝率・連対率の違い」をなるだけ除去した表の右側の値が参考になります。
目標の自力選手の勝率・連対率が高いのは前項でも記したとおりです。
他の3つの選手位置で勝率・連対率を比較すると、

7車立てレース:競り込まれ選手 > 競り不参加選手 > 競り込み選手
9車立てレース:競り不参加選手 > 競り込まれ選手 > 競り込み選手

となり、7車立てと9車立てで順位は若干違っています。
いずれでも勝率・連対率では「競り込み選手がやや不利」となっているようです。

表6-1. 7車立てレースでの勝率・連対率比較
 全該当選手力上位(※3)の該当選手
選手数勝 率連対率選手数勝 率連対率
目標の自力選手64570.1 %84.8 %50974.5 %88.6 %
競り込まれ選手6457.3 %29.2 %27912.9 %39.4 %
競り込み選手6453.9 %19.8 %2237.2 %29.6 %
競り不参加選手2,5804.7 %16.6 %51511.3 %33.4 %

(※3) 力上位 --- G指数値トップnote4との差が3.0未満の選手に限定。

表6-2. 9車立てレースでの勝率・連対率比較
 全該当選手力上位(※3)の該当選手
選手数勝 率連対率選手数勝 率連対率
目標の自力選手52343.6 %60.6 %33853.0 %71.9 %
競り込まれ選手5237.5 %18.9 %19815.7 %29.3 %
競り込み選手5234.2 %13.8 %13111.5 %26.0 %
競り不参加選手3,1207.4 %17.8 %54819.0 %36.7 %

(※3) 力上位 --- G指数値トップとの差が3.0未満の選手に限定。

ポイント2:競りの目標自力選手は勝率・連対率が高い傾向!

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7. 競りレースにおける有利な車券とは?

上項の結果から判断すると、番手競りレースでは目標となる自力選手の勝率がとても高く、そこを軸とするのが車券の基本となるようです。
目標の自力選手からの車券、および食指が動く「別線の自力 ⇔ その番手」の車券について回収率を調べてみました。

表7-1 は、調査期間に発生した番手競りレースを対象として、選手位置に注目して車券を分類し、2車単車券の的中率・回収率(およびオッズ・的中配当)を調べた結果です。
的中率10%程度の車券の回収率に信頼性を持たせるには本来なら約3,500個ほどの購入車券数が必要なのですが、今回は該当レースが少なくて足りていません。回収率はバラツキを含んだ参考値として見て下さい。

表7-1. 番手競りレースの2車単車券データ
(番手競りレース数 1217個)
車券種類購入車券数的中率回収率1回収率2オッズ的中配当
中央値平均値中央値平均値最高値
目標自力 → 競り込まれ1,21715.4 %81.3 %77.6 %6.3 倍13.4 倍340 円529 円4,600 円
目標自力 → 競り込み1,22311.4 %124.9 %117.6 %13.4 倍24.9 倍700 円1,099 円9,130 円
目標自力 → 競り不参加11,21713.0 %87.3 %85.1 %7.5 倍12.1 倍520 円672 円2,840 円
目標自力 → 競り不参加21,2178.0 %75.7 %72.3 %13.5 倍20.6 倍730 円949 円4,150 円
目標自力 → 競り不参加31,2155.8 %95.1 %88.3 %20.3 倍31.3 倍1,150 円1,650 円8,360 円
競り込まれ → 目標自力1,2174.8 %43.8 %41.4 %20.7 倍38.8 倍650 円903 円3,010 円
競り込み → 目標自力1,2232.6 %91.0 %74.1 %51.0 倍84.4 倍2,215 円3,479 円20,830 円
別線の自力 → 番手7317.0 %72.9 %61.8 %17.9 倍33.3 倍610 円1,045 円8,190 円
別線の番手 → 自力7314.9 %53.4 %48.0 %22.9 倍45.2 倍700 円1,085 円4,000 円
力ある別線の自力 → 番手21714.3 %95.7 %80.6 %7.2 倍10.0 倍540 円669 円3,360 円
力ある別線の番手 → 自力21710.1 %71.4 %55.9 %11.0 倍13.9 倍470 円704 円3,430 円
表7-1 の項目説明
  • 車券種類について --- 例えば「目標自力 → 競り込まれ」は、「目標の自力選手」を1着、「競り込まれ選手」を2着とした2車単車券のことです。 「目標の自力選手」「競り込まれ選手」「競り込み選手」「競り不参加選手」の定義については前項に記したとおりです。
    なお「競り不参加選手」については、G指数が高い順に 「競り不参加1」「競り不参加2」「競り不参加3」とし、G指数上位3人分のデータを記載しました。
  • 回収率1 と 回収率2 について --- 「回収率1」が本来の回収率(=回収額 ÷ 購入額)です。 しかしレース数が少ないため、1本の高額配当で回収率が跳ね上がってしまいます。 その影響を除くため、最高配当の車券を除いて算出した回収率を「回収率2」として表中に付加しました。 実際の回収率より低い値となってしまいますが、車券種類の回収率比較にはこちらを用いたほうが真の実力比較になると思います。
    なお回収率2が80%を超えている部分については、「今後も高い回収率が得られる可能性がある」として背景色をピンクにしています。
  • 別線の自力 ⇔ 番手について --- 競りラインとは別線で「自力選手」とそれに続く「番手選手」がいるラインがある場合に、その2人の表車券および裏車券です。 先頭の自力選手は、「脚質が『逃』であるか、または『両』で直近4ヶ月のバック数が2回以上あること」を条件としました。
  • 力ある別線…について --- 「別線の自力 ⇔ 番手」のうち、先頭の自力選手が「G指数値が競りライン先頭選手のG指数値より大きいか、またはその差が3.0未満」の条件を満たす場合に限定した車券です。
  • オッズについて --- 参考データとして該当車券の2車単オッズの中央値・平均値を記しました。
  • 的中配当について --- 参考データとして的中した2車単配当の中央値・平均値・最高値を記しました。(最高値 は「回収率2」の計算に使用しています)
表7-1 から得られる結論

やはり競りレースでは、競り目標の自力選手を1着とした車券の回収率が高くなるようです。
目標となる自力選手を1着として2着探しをした場合、「目標自力 → 競り込み」の車券が最も高い回収率を得られました。前項の連対率調査の結果のとおり「目標自力 → 競り込まれ」や「目標自力 → 競り不参加1」と比べて的中率は低いのですが、オッズが高いために回収率は高くなりました。
「目標自力 → 競り不参加選手」への車券も回収率は高めとなります。G指数値やオッズ値、およびライン上の位置等を上手く組み合わせて車券購入条件を設定すれば、旨味がある車券となりそうです。

目標となる自力選手を2着とする車券の回収率は高くないようです。「競り込み → 目標自力」は回収率1は91.0%の高さですが、これは最高配当20,830円の影響が大きく、これを除いた回収率2では74.1%まで落ちます。真の回収率はそれほど高くはないと思われます。

「別線の自力⇔番手」の車券については、別線自力に力があれば「別線の自力→番手」の表車券については高い回収率が得られるようです。

ポイント3:競りレース攻略は目標自力→競り込みパターンが鍵!

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