遠山競輪研究所

競輪場別の上がりタイムと決まり手について( 2019/06/24 )

1着選手の上がりタイム と 1・2着選手の決まり手 を競輪場別・クラス別に集計し、バンク特徴(直線長、コーナー部カント)との関係、風速や季節および天候との関係を調べてみました。

◇ 調査対象レース
2017年5月~2019年4月の2年間に行われた全レース
(地震で休止中の熊本競輪場を除く42場分)
◇ 目次
1. 上がりタイムについて
1-1. バンク長・クラス別の平均上がりタイム
(バンク長間の上がりタイム換算係数)
1-2. 各競輪場の平均上がりタイム一覧(ランキング)
1-3. バンク条件と上がりタイムの関係
・直線長、コーナー部カントとの関係
・風速との関係
・季節との関係
・天候との関係
2. 決まり手について
2-1. バンク長・クラス別の決まり手比率
2-2. 各競輪場の決まり手比率一覧(ランキング)
2-3. バンク条件と決まり手比率の関係
・直線長との関係
・コーナー部カントとの関係
・風速との関係
・季節との関係
・天候との関係
(付録)関係調査に用いた統計手法についての簡単な説明
付1. 相関係数
付2. 相関比
付3. カイ二乗検定

1. 上がりタイムについて

1-1. バンク長・クラス別の平均上がりタイム

バンク長別・クラス別に全場(地震で休止中の熊本を除く42場)の1着平均上がりタイムを集計しました。

1着選手の平均上がりタイム
バンク長 S級戦 A12班戦チャレンジガールズ
333バンク 7場9.88秒10.19秒10.32秒10.48秒
400バンク 31場11.71秒12.05秒12.27秒12.66秒
500バンク 4場14.51秒14.95秒15.21秒15.77秒

ちなみに、上のS級戦とA12班戦の平均値から 333⇔400 、 333⇔500 、 400⇔500 の上がりタイム換算の係数を求めると、次のとおりとなります。

上がりタイム換算の係数
333 ⇒ 400:x 1.184  400 ⇒ 333:x 0.845
333 ⇒ 500:x 1.468  500 ⇒ 333:x 0.684
400 ⇒ 500:x 1.240  500 ⇒ 400:x 0.806
1-2. 各競輪場の平均上がりタイム一覧(ランキング)

S級戦とA12班戦の1着選手平均上がりタイムを競輪場毎に集計し、バンク長別にタイムが速い順に並べました。
表には バンク特徴(直線長とコーナー部カント)、およびレース時風速の平均値と順位も付加しました。

333バンクの平均上がりタイム・ランキング
(S級戦タイムとA12班戦タイムの平均値で順位付け。)
タイム
順位
場名上がりタイムバンク特徴レース時の風速
S級戦A12班戦直線長カント平均値(順位)
1前橋  #22 9.72秒10.06秒46.7m36.00°0.00m (41)
2小田原 #36 9.87秒10.19秒36.1m35.57°0.75m (37)
3奈良  #53 9.91秒10.16秒38.0m33.43°0.93m (31)
4防府  #63 9.90秒10.17秒42.5m34.69°1.08m (28)
5富山  #46 9.89秒10.19秒43.0m33.69°1.34m (19)
6松戸  #31 9.91秒10.28秒38.2m29.75°0.96m (30)
7伊東  #37 9.98秒10.27秒46.6m34.69°0.89m (32)
500バンクの平均上がりタイム・ランキング
(S級戦タイムとA12班戦タイムの平均値で順位付け。)
タイム
順位
場名上がりタイムバンク特徴レース時の風速
S級戦A12班戦直線長カント平均値(順位)
1大宮  #2514.48秒14.90秒66.7m26.28°1.49m (12)
2宇都宮 #2414.47秒14.99秒63.3m25.80°0.66m (39)
3千葉  #3214.59秒14.88秒60.0m24.22°1.50m (10)
4高知  #7414.53秒15.03秒52.0m24.50°1.47m (13)
400バンクの平均上がりタイム・ランキング
(S級戦タイムとA12班戦タイムの平均値で順位付け。)
タイム
順位
場名上がりタイムバンク特徴レース時の風速
S級戦A12班戦直線長カント平均値(順位)
1小倉  #8111.52秒11.86秒56.9m34.03°0.00m (41)
2岸和田 #5611.56秒11.98秒56.7m30.93°1.50m (10)
3青森  #1211.64秒11.97秒58.9m32.25°0.88m (33)
4福井  #5111.63秒11.99秒52.8m31.48°1.61m ( 6)
5弥彦  #2111.61秒12.03秒63.1m32.40°0.61m (40)
6平塚  #3511.63秒12.03秒54.2m31.48°1.18m (25)
7武雄  #8411.65秒12.02秒64.4m32.01°0.80m (34)
8名古屋 #4211.68秒12.00秒58.8m34.03°1.20m (22)
8岐阜  #4311.64秒12.05秒59.3m32.25°1.32m (20)
10久留米 #8311.67秒12.02秒50.7m31.48°0.78m (35)
11向日町 #5411.65秒12.06秒47.3m30.49°1.38m (15)
12西武園 #2611.67秒12.06秒47.6m29.45°0.77m (36)
13広島  #6211.75秒11.98秒57.9m30.79°1.19m (23)
14小松島 #7311.66秒12.08秒55.5m29.77°2.17m ( 2)
15松山  #7511.74秒12.00秒58.6m34.03°1.13m (27)
16玉野  #6111.77秒11.99秒47.9m30.63°1.19m (23)
17豊橋  #4511.70秒12.06秒60.3m33.84°1.36m (18)
18四日市 #4811.73秒12.05秒62.4m32.25°1.99m ( 4)
19川崎  #3411.68秒12.10秒58.0m32.17°1.56m ( 9)
20和歌山 #5511.78秒12.02秒59.9m32.25°2.01m ( 3)
21取手  #2311.69秒12.11秒54.8m31.51°1.38m (15)
22大垣  #4411.76秒12.05秒56.0m30.62°1.03m (29)
23佐世保 #8511.75秒12.07秒40.2m31.48°0.75m (37)
24函館  #1111.75秒12.07秒51.3m30.61°1.82m ( 5)
25静岡  #3811.78秒12.03秒56.4m30.72°1.61m ( 6)
26いわき平 #1311.70秒12.12秒62.7m32.91°1.21m (21)
27京王閣 #2711.72秒12.11秒51.5m32.18°1.38m (15)
28高松  #7111.81秒12.06秒54.8m33.26°1.46m (14)
29松阪  #4711.85秒12.05秒61.5m34.42°2.19m ( 1)
30立川  #2811.83秒12.18秒58.0m31.22°1.58m ( 8)
31別府  #8611.93秒12.24秒59.9m33.69°1.17m (26)

333バンクで上がりタイムが最速だったのは前橋、400バンクでは小倉で、ともに風の影響を受けないドーム型でした。
(前橋のバンク長は他の333バンクより2m長い335mですが、それでも上がりタイムは最速でした。)

1-3. バンク条件と上がりタイムの関係

同じバンク長でも競輪場よって上がりタイムに差があるのですが、何が関係しているのでしょうか?
わかる範囲で調べてみました。

・直線長、コーナー部カントとの関係

サンプル数(場数)が多い400バンクの「直線長と平均上がりタイム」および「コーナー部カントと平均上がりタイム」の相関係数を計算すると、それぞれ 0.010.05 でとても低い値であり、上がりタイムは、バンクの直線長やコーナー部カントとは関係ないようです。

・風速との関係

400バンクで「各場の平均風速と平均上がりタイム」の相関係数を計算すると 0.44 となりました。
強い関係ではないですが、「相関がある」というレベルです。つまり、風の強い競輪場のほうが上がりタイムは遅い傾向にある と言えます。

ちなみに、400バンクで最もタイムが遅いのは 別府競輪場でした。「別府競輪場は海岸に近く風が強い」というイメージがありますが、データを採取した2017年5月~2019年4月のレース時平均風速は全場中26位で、データ上では決して風が強いほうではありません。
上表の「風速順位」でわかるように、風が強い競輪場ベスト5は 「1.松阪」→「2.小松島」→「3.和歌山」→「4.四日市」→「5.函館」でした。松阪と四日市はともに太平洋からの風が吹き込む伊勢湾湾岸にあり、小松島と和歌山も同様に風が強い紀伊水道に向い合って面しています。

各場の個々のレースの上がりタイムとレース時風速との相関係数を計算すると、別府競輪場が1場だけ抜けて高く、S級戦・A12班戦の平均で 0.56 という値でした。つまり、競輪場の風は松阪や小松島が強いが、風の影響を最も受けやすいのは別府競輪場ということになります(風がバンクにそのまま吹き抜けているということでしょうか?)。

・季節との関係

400バンクで、ドーム型の小倉と冬場の開催がない函館、青森、弥彦、福井を除いた26場の S級戦とA12班戦の1着上がりタイムとレース時の風速を季節別に集計しました。

対象バンク: 小倉,函館,青森,弥彦,福井を除いた400バンク
対象クラス: S級戦 および A12班戦
※ 表中の風速はS級戦およびA12班戦レース時のもの。
季 節レース時の風速
平均値 (順位)
上がりタイム平均値 (順位)
S級戦A12班戦S・A12平均
春(3~5月) 1.51m (1)11.71秒 (3)12.04秒 (3)11.90秒 (3)
夏(6~8月) 1.40m (3)11.52秒 (1)11.89秒 (1)11.74秒 (1)
秋(9~11月)1.17m (4)11.69秒 (2)12.02秒 (2)11.90秒 (2)
冬(12~1月)1.43m (2)11.91秒 (4)12.24秒 (4)12.11秒 (4)

風速は 春 → 冬 → 夏 → 秋 の順に強いのですが、上がりタイムはS級・A12班とも 冬 → 春・秋 → 夏 の順に遅く、上がりタイム自体には、季節による風速の違いよりも 季節による気温や湿度等の違いの影響が大きいようです。

・天候との関係

400バンクで、ドーム(全天候型)の小倉を除いた30場のS級戦とA12班戦の1着上がりタイムを天候別に集計しました。

対象期間:  2017年5月 ~ 2019年4月
対象バンク: 小倉を除いた400バンク
対象クラス: S級戦 および A12班戦
※ 表中の平均風速はS級戦およびA12班戦レース時のもの。
天 候平均風速上がりタイム平均値
S級戦A12班戦S・A12平均
晴および曇1.41m11.71秒12.04秒11.88秒
雨および雪1.10m11.77秒12.11秒11.94秒

レース時の風速は 「晴および曇」時のほうが強いのですが、それでもS級戦,A12班戦とも「雨および雪」時の上がりタイムが若干遅くなっています。
S・A12班平均値で風速との 相関比を求めると 0.14 となり、相関が認められます。雨天時のほうが上がりタイムは遅くなりやすいと言えそうです。
(※ 相関比とその値の判定については 付録2 を参照下さい。)

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2. 決まり手について

2-1. バンク長・クラス別の決まり手比率

バンク長別・クラス別に全場(地震で休止中の熊本を除く42場)の1着・2着決まり手比率を集計しました。
当然ですが、バンク長が長いほうが逃げの決まり手が少なく、差しが多くなっています。
クラスでみるとS級戦では逃げの決まり手が非常に低く、チャレンジ戦の半分以下となります。

1着が 逃げ の場合の2着決まり手は 逃げ 非常に少なく(逃げ-逃げの決まり手が少ない)、マークの決まり手が大変多くなっています。と言っても 「逃げ-マーク」の決まり手が必ずしも筋車券という訳ではありません。別線の自力選手がイン粘りで番手に入って そのまま1・2着の場合でも 逃げ-マークの決まり手となります。

※1着入線選手が失格になった場合に、繰り上がり1着選手の決まり手が”マーク”になる場合があるが、非常に少ないので ここでは表記していません。

333バンク 決まり手比率
クラス1着決まり手1着「逃げ」時の2着決まり手1着「捲り」時の2着決まり手1着「差し」時の2着決まり手
逃げ捲り差し逃げ捲り差しマーク逃げ捲り差しマーク逃げ捲り差しマーク
S級戦16.1%44.4%39.3%0.6%10.9%27.4%61.2%8.0%13.4%27.2%51.4%34.1%29.4%20.2%16.3%
A12班戦24.0%37.1%38.9%0.5%8.2%21.1%70.2%10.5%13.0%25.3%51.2%36.4%26.1%22.4%15.1%
チャレンジ41.8%30.6%27.5%2.1%7.2%20.6%70.2%20.2%11.4%21.1%47.3%50.9%18.6%15.4%15.1%
ガールズ34.2%50.0%15.6%6.0%11.9%7.5%74.6%28.1%15.8%11.7%44.4%52.5%19.7%6.6%21.3%
400バンク 決まり手比率
クラス1着決まり手1着「逃げ」時の2着決まり手1着「捲り」時の2着決まり手1着「差し」時の2着決まり手
逃げ捲り差し逃げ捲り差しマーク逃げ捲り差しマーク逃げ捲り差しマーク
S級戦13.1%36.4%50.3%0.8%9.8%29.7%59.6%7.3%12.5%32.3%47.9%23.5%28.2%31.4%16.9%
A12班戦18.7%34.1%47.0%0.8%8.5%27.4%63.3%9.6%11.8%31.5%47.1%26.9%23.6%29.9%19.6%
チャレンジ35.4%29.8%34.6%1.5%7.3%25.2%66.0%18.2%11.7%27.0%43.0%38.9%18.6%23.2%19.3%
ガールズ24.4%48.2%27.3%3.5%12.1%23.4%61.0%18.5%18.2%14.3%49.0%24.4%37.2%12.9%25.5%
500バンク 決まり手比率
クラス1着決まり手1着「逃げ」時の2着決まり手1着「捲り」時の2着決まり手1着「差し」時の2着決まり手
逃げ捲り差し逃げ捲り差しマーク逃げ捲り差しマーク逃げ捲り差しマーク
S級戦10.2%30.1%59.5%2.0%5.1%37.8%55.1%8.0%7.6%35.0%49.5%14.4%24.0%41.5%20.1%
A12班戦13.7%31.2%55.1%0.4%7.9%32.2%59.5%8.8%8.4%39.5%43.2%17.9%17.1%44.5%20.5%
チャレンジ32.5%28.3%39.0%0.0%4.5%28.7%66.9%23.4%12.0%27.4%37.2%25.9%18.8%34.1%21.2%
ガールズ24.0%41.1%34.9%2.4%9.5%21.4%66.7%8.3%11.1%13.9%66.7%26.2%26.2%18.0%29.5%
2-2. 各競輪場の決まり手比率一覧(ランキング)

バンク長別に、各場のS級戦とA12班戦の決まり手を、逃げの決まり手が高い順に並べて表記しました。

(S級戦とA12班戦の平均値の高さ で順位付けしています。)

333バンク 場別の決まり手比率(「逃げ」比率のS級戦・A12班戦の平均値順)
逃げ
順位
場名1着決まり手(S級戦)1着決まり手(A12班戦)バンク特徴レース時の風速
逃げ捲り差し逃げ捲り差し直線長カント平均値(順位)
1松戸 _#3118.6%45.1%36.3%26.1%35.0%38.9%38.2m29.75°0.96m_(30)
2防府 _#6315.9%49.5%34.6%27.4%35.2%37.4%42.5m34.69°1.08m_(28)
3奈良 _#5316.6%45.1%38.3%25.8%40.4%33.7%38.0m33.43°0.93m_(31)
4前橋 _#2214.9%45.6%39.5%27.2%35.4%37.4%46.7m36.00°0.00m_(41)
5伊東 _#3717.9%40.9%41.2%21.1%36.3%42.5%46.6m34.69°0.89m_(32)
6富山 _#4614.1%41.5%44.4%20.1%37.0%42.8%43.0m33.69°1.34m_(19)
7小田原_#3613.9%43.4%42.7%18.6%40.1%41.2%36.1m35.57°0.75m_(37)
500バンク 場別の決まり手比率(「逃げ」比率のS級戦・A12班戦の平均値順)
逃げ
順位
場名1着決まり手(S級戦)1着決まり手(A12班戦)バンク特徴レース時の風速
逃げ捲り差し逃げ捲り差し直線長カント平均値(順位)
1宇都宮_#2412.2%28.9%58.9%15.7%25.1%59.3%63.3m25.80°0.66m_(39)
2高知 _#7410.0%35.5%54.4%14.8%36.5%48.7%52.0m24.50°1.47m_(13)
3大宮 _#259.2%27.9%62.9%12.3%29.9%57.9%66.7m26.28°1.49m_(12)
4千葉 _#328.0%26.1%65.9%9.7%31.3%59.0%60.0m24.22°1.50m_(10)
400バンク 場別の決まり手比率(「逃げ」比率のS級戦・A12班戦の平均値順)
逃げ
順位
場名1着決まり手(S級戦)1着決まり手(A12班戦)バンク特徴レース時の風速
逃げ捲り差し逃げ捲り差し直線長カント平均値(順位)
1西武園_#2618.8%36.5%44.7%24.8%29.9%45.3%47.6m29.45°0.77m_(36)
2久留米_#8313.7%39.8%46.5%23.8%31.9%44.2%50.7m31.48°0.78m_(35)
3小倉 _#8114.2%38.1%47.7%23.2%33.3%43.5%56.9m34.03°0.00m_(41)
4別府 _#8616.9%38.2%44.9%19.3%35.9%44.8%59.9m33.69°1.17m_(26)
5向日町_#5413.8%37.9%47.9%22.1%30.9%46.9%47.3m30.49°1.38m_(15)
6大垣 _#4414.6%35.0%50.5%21.3%30.8%48.0%56.0m30.62°1.03m_(29)
7取手 _#2315.3%38.3%46.1%20.3%33.3%46.4%54.8m31.51°1.38m_(15)
8佐世保_#8512.4%40.7%46.5%22.8%35.5%41.7%40.2m31.48°0.75m_(37)
9函館 _#1115.7%33.6%50.6%19.0%31.3%49.7%51.3m30.61°1.82m_( 5)
10青森 _#1213.0%36.0%51.0%21.1%32.8%46.1%58.9m32.25°0.88m_(33)
11松山 _#7514.2%39.5%46.0%18.7%38.4%42.7%58.6m34.03°1.13m_(27)
12川崎 _#3414.7%32.3%53.0%17.6%31.6%50.9%58.0m32.17°1.56m_( 9)
13名古屋_#4215.6%35.5%48.9%16.6%38.0%45.4%58.8m34.03°1.20m_(22)
14武雄 _#8411.7%36.7%51.1%20.4%31.9%47.7%64.4m32.01°0.80m_(34)
15弥彦 _#2113.1%33.2%53.7%18.4%32.3%49.1%63.1m32.40°0.61m_(40)
16静岡 _#3812.7%38.1%48.9%18.2%34.6%47.2%56.4m30.72°1.61m_( 6)
17福井 _#5114.4%39.2%46.4%16.2%40.2%43.4%52.8m31.48°1.61m_( 6)
18小松島_#7315.7%34.8%49.5%14.9%32.1%52.8%55.5m29.77°2.17m_( 2)
19立川 _#2812.3%35.5%51.8%18.0%31.8%50.3%58.0m31.22°1.58m_( 8)
20岸和田_#5611.8%39.2%48.7%18.5%34.7%46.8%56.7m30.93°1.50m_(10)
21和歌山_#5510.3%37.3%52.3%19.9%38.4%41.8%59.9m32.25°2.01m_( 3)
22四日市_#4812.7%37.1%50.2%16.1%37.3%46.6%62.4m32.25°1.99m_( 4)
23京王閣_#2711.6%39.0%49.4%17.0%29.1%53.9%51.5m32.18°1.38m_(15)
24豊橋 _#4511.5%31.6%56.8%16.9%31.1%52.0%60.3m33.84°1.36m_(18)
25平塚 _#3512.3%35.3%52.5%15.7%34.9%49.4%54.2m31.48°1.18m_(25)
26松阪 _#4711.4%34.5%53.7%15.9%33.5%50.6%61.5m34.42°2.19m_( 1)
27高松 _#7110.4%34.9%54.7%16.5%41.2%42.3%54.8m33.26°1.46m_(14)
28玉野 _#6110.8%33.8%55.4%15.8%37.2%46.8%47.9m30.63°1.19m_(23)
29岐阜 _#4313.1%39.4%47.5%13.4%35.8%50.9%59.3m32.25°1.32m_(20)
30広島 _#628.6%36.3%54.8%16.1%34.0%49.9%57.9m30.79°1.19m_(23)
31いわき平_#137.2%31.8%61.0%14.2%38.1%47.6%62.7m32.91°1.21m_(21)

400バンクにおいては、西武園が逃げの決まり手の比率が高く、33バンクと比較しても高い値です。
400バンクで逃げの決まり手の比率が最も低いのは いわき平競輪場で、S級戦・A12班戦に限れば 西武園の半分以下となります。

500バンクでは、直線が最も長い熊本(2016年の地震以降休止中)と、上表で逃げの決まり手率が最も低い千葉競輪場がリニューアル後は それぞれ 400バンク,250バンクとなる予定ですので、極端に先行不利なバンクはなくなります。

2-3. バンク条件と決まり手比率の関係
・直線長との関係

上表の400バンクのデータで、バンクの直線長と1着決まり手比率(S級戦、A12班戦の平均)との相関係数を求めると、

  • 直線長と「逃げ」比率との関係:
    負の相関あり(相関係数 -0.41)
  • 直線長と「捲り」比率との関係:
    相関なし(相関係数 -0.10)
  • 直線長と「差し」比率との関係:
    弱い正の相関あり(相関係数 0.39)

となり、直線長が長くなると、先行が不利になり、追い込みが有利になる と言えるようです。

・コーナー部カントとの関係

上表の400バンクのデータで、コーナー部カント(センター部路面傾斜)と1着決まり手比率(S級戦、A12班戦の平均)との相関係数を求めると、

  • カントと「逃げ」比率との関係:
    弱い負の相関あり(相関係数 -0.23)
  • カントと「捲り」比率との関係:
    弱い正の相関あり(相関係数 0.22)
  • カントと「差し」比率との関係:
    相関なし(相関係数 0.02)

となり、コーナー部カントがきつくなると、先行がやや不利になり、捲くりがやや有利になる と言えるようです。

・風速との関係

上表の400バンクのデータで、各場の平均風速と1着決まり手比率(S級戦、A12班戦の平均)との相関係数を求めると、

  • 風速と「逃げ」比率との関係:
    負の相関あり(相関係数 -0.42)
  • 風速と「捲り」比率との関係:
    相関なし(相関係数 0.03)
  • 風速と「差し」比率との関係:
    弱い正の相関あり(相関係数 0.30)

となり、風速が強くなると先行が不利になり、追い込みがやや有利になる と言えるようです。

・季節との関係

400バンクで、ドーム型の小倉と冬場の開催がない函館、青森、弥彦、福井を除いた 26場のS級戦とA12班戦の1着決まり手とレース時の風速を季節毎に集計しました。

対象バンク: 小倉および函館,青森,弥彦,福井を除いた400バンク
対象クラス: S級戦 および A12班戦

※ 表中の平均風速はS級戦およびA12班戦レース時のもの。
季 節レース時の風速
平均値 (順位)
S級戦・1着決まり手A12班戦・1着決まり手
逃げ捲り差し逃げ捲り差し
春(3~5月) 1.51m (1)12.9%35.0%51.7%19.3%32.9%47.8%
夏(6~8月) 1.40m (3)13.7%38.0%48.1%18.1%35.5%46.2%
秋(9~11月)1.17m (4)11.9%37.7%50.2%17.8%34.5%47.5%
冬(12~1月)1.43m (2)12.8%35.5%51.4%18.2%34.0%47.5%

秋に1着の逃げの決まり手が若干低くなりますが、上表を 「季節 × 決まり手数(逃げ or 逃げ以外)」の形式でクロス集計して カイ二乗検定を行うと(下表)、p値は 53.6%となり、統計的には 決まり手の季節依存はない ようです。

「季節 × 決まり手数(逃げ or 逃げ以外)」の
クロス集計表

季節 逃げ 逃げ以外  計  
春(3~5月) 8374,1945,031
夏(6~8月) 7483,8224,570
秋(9~11月)7353,9784,713
冬(12~1月)8814,6195,500
3,20116,61319,814

カイ二乗検定の結果:
自由度=3   カイ二乗値=2.18   p値=0.536

・天候との関係

400バンクで、ドーム(全天候型)の小倉を除いた30場のS級戦とA12班戦の1着決まり手比率を天候別に集計しました。

対象バンク: 小倉を除いた400バンク
対象クラス: S級戦 および A12班戦

※ 表中の平均風速はS級戦およびA12班戦レース時のもの。
天 候平均風速S級戦A12班戦
逃げ捲り追込逃げ捲り追込
晴および曇1.41m13.1%36.4%50.3%18.2%34.2%47.5%
雨および雪1.10m11.9%35.9%52.1%20.6%34.3%45.1%

「雨だと先行有利」という言葉を良く聞きますが、上データではどうでしょう?S級戦では逆に晴・曇の時のほうが逃げの決まり手比率は高くなっています。でも トータルとしてはレース数が多いA12班戦の値のほうが支配的で、雨・曇の時のほうが逃げの決まり手比率は高くなります(下表参照)。
トータル値で、カイ二乗検定を行うと、

「天候 × 決まり手数(逃げ or 逃げ以外)」の
クロス集計表

天候 逃げ 逃げ以外  計  
晴・曇3,354 (16.2%)17,399 (83.8%)20,753
雨・雪 376 (17.4%) 1,781 (82.6%)2,157
3,73019,18022,910

カイ二乗検定の結果:
自由度=1   カイ二乗値=2.31   p値=0.128

p値は 12.8%となり、一般的な 5% 検定だと 統計的には 雨だから先行有利とはいえない となります。
といっても 四字熟語の ”十中八九” (有意水準 10~20%程度?)という言葉を使うなら先行有利と言えますし、A級戦に限定なら5%検定でも 雨・雪の日は先行有利となります。判断は皆さまで行なってみてください。

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(付録.) 関係調査に用いた統計手法についての簡単な説明

付1. 相関係数

2変数間の直線的関係の強さを表す統計量で、-1から1までの値をとります。相関係数はプラスの場合に正の相関、マイナスの場合に負の相関となります。0に近いほど相関関係は弱く、±1 に近いほど相関関係は強くなります。
ここでは、相関の強さを おおよそ下表値で判断しました。
「風速と上がりタイムの関係」等、2変数が量的データの場合の分析に使用しました。

相関係数相関の強さ
 0.0 ~ ±0.2 相関なし
±0.2 ~ ±0.4 弱い相関がある
±0.4 ~ ±0.7 相関がある
±0.7 ~ ±0.9 強い相関がある
付2. 相関比

相関係数と同様に2変数間の相関の強さを表す統計量ですが、片方の変数が量的データではなく質的データ(カテゴリーデータ)である場合に用います。
0から1までの値をとり、0に近いほど相関関係は弱く、1に近いほど相関関係は強くなります。
ここでは、相関の強さを おおよそ下表値で判断しました。
「天候と上がりタイムの関係」等、片方が質的データ(天候)の場合の分析に使用しました。

相関比相関の強さ
0.0 ~ 0.10 相関なし
0.10 ~ 0.25 弱い相関がある
0.25 ~ 0.50 相関がある
0.50 ~ 1.00 強い相関がある
付3. カイ二乗検定

今回分析に用いた「カイ二乗分布を利用した独立性の検定」について簡単に解説します。
ある事象ををカテゴリー別集計した場合に、その事象とカテゴリー間に因果関係があるか否か(独立性)を判定する検定です。
ここではp値因果関係がないと帰無仮説を設定した場合に、観測値またはそれ以上に差が出て観測される確率)を算出して判定しています。
p値が小さい場合(設定した有意水準値との比較)、「小さい確率なのに今回観測されてしまっている。よって 仮説を否定して因果関係があるとするのが妥当。」という考え方の検定方法です。
一般的には p値が 5%以下の場合に因果関係があると判定しますが(有意水準5%)、検定の目的によって臨機応変に有意水準を 緩め or きつめ に設定して良いのでは?思います。
「先行の決まり手率に 天候(雨か否か)が関係するか」等の分析に使用しました。

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