視力の低下が気になりだしたのは何歳頃だろう。二十代後半には運転免許証に「眼鏡等」と記載されていた記憶があるから、三十前には眼鏡かコンタクトを使用していたのだろう。
老眼という老化現象に気づいた時は妙な気分だった。
遠近の眼鏡、遠近のコンタクトと試したが長くはつづかず、中近の眼鏡に落ちついたのは五十代半ばか。
中近の眼鏡は遠くを犠牲にしているわけだから、予想紙を読むにはいいが、電光掲示板のオッズは少々厳しい。競輪場でレースを見る分には想像力で補えるが、さすがに映画館には普通の近視の眼鏡を持参する。
中近の眼鏡と聞いて中部近畿ラインを連想し、それじゃ中部近畿の筋でも買うか、とでもなれば立派な競輪党である。もちろん党員なれば、家を出る際まちがえて遠近の眼鏡で来ちゃった日は、まずは遠征勢と近畿勢と勘が動くか。それよりなにより、遠くも近くも曖昧で構わないから、競輪の展開がすっきり見える眼鏡は売ってないかしら。
愚にも付かない戯れ言を、労働者の祭典の日に記す。
附記。今さっき奈良GⅢの第一競走、五車立の一般戦が終了したが、遠近の眼鏡でも中近の眼鏡でもコンタクトでも裸眼でも、お寒い競輪にしか見えなかろう。
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