今回はかなり固い内容かつ長文になります。ご了承ください。
「内定者のSNS投稿「はっちゃけたい」に研修担当が一喝 笠松競馬場の対応、波紋呼ぶ」(朝日新聞)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190326-00000100-asahi-soci
こんな記事がありました。
具体的には笠松競馬場職員に就職内定した若者のツイートに笠松競馬公式がリプライ(公開の形での返信)で苦言を呈したことが明るみになって、SNSやメディアで取り上げられる事態になっているということです。
ここで論点整理のため、苦言を呈しているツイートを転記します。
https://twitter.com/kasamatsukeiba/status/1110034580931665920
研修担当です。あなたは私の研修で何を聞いていましたか?ツイッターの個人アカウント上で公営競技に携わる公務員であることを世界に発信するリスクを、どよのうに考えているのですか?4月1日に面接を行いますので回答を準備しておいてください(ツイートを削除しないこと)
上記リプライは内定した若者のアカウント(現在は非公開状態)が勤務開始後の近い将来「はっちゃけたい」とツイートしたことに対するものです。なおこれ以降もやり取りのリプライはありますが、内定した若者が非公開(いわゆる鍵アカウント)にしていることもあり、触れないこととします。
この文面および背景について、ここで考えたい論点を整理します。
①公開の形で研修担当者が競馬場公式アカウントでリプライすることの是非
②「ツイッターの個人アカウント上で公営競技に携わる公務員であることを世界に発信するリスク」の存在と程度
③このやり取りがメディアで報じられることの是非
①ですが、研修等に携わる方々ならご理解されていると思いますが、ネガティブな指導については原則対象者のみを他に晒さない形で行うべきとされています。要は叱るならバックヤードなど人目に触れないところでやるべき。
ところが笠松競馬公式アカウントは公開となるリプライでやってしまいました。
ツイッターでは、ダイレクトメッセージ(DM)という当人同士でのみ可能な連絡手法もあり、DMでなら当事者以外は目にすることはありません。笠松競馬公式アカウントでも当然可能にもかかわらず、なぜ公開されるリプライを取ったのか。実際それに対する苦言のリプライも公式アカウントには届いています。
この時点で、対応を誤っていると私は考えます。
②ですが、公営ギャンブルでツイッターなどのSNSアカウントを活用している騎手、選手、関係者は多数います。もちろん開催中は外部との連絡を遮断され、SNSでの投稿はできませんが、開催ではない時間帯は問題ありません。
「公営競技に携わる公務員」が公営競技の騎手、選手とどう違うかは、それは立場の違いでしかありません。
いわゆる反社会的組織をはじめとする各方面からの圧力等がかかるリスクは、公営競技にかかわる以上は同程度にはあり、ましてや選手は登録名が原則本名で、居住都道府県は競輪なら公開されており、専門紙の中には市区郡まで記載されている場合もあります。これでは公務員が選手よりハイリスクとは到底言えないでしょう。
なお公務員なら守秘義務事項というものがあるので、それを守らないことは違法ですが、自分が公務員であることや守秘義務に該当しない事項をSNSで発信することは違法性はありません。従いまして公務員がSNSを利活用すること自体は違法ではないわけです。
念のために守秘義務が課される事項を確認しますが、地方公務員法第34条1項に「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。」とあります。これは思ったよりも広範囲なので、笠松競馬職員の場合は「笠松競馬に関して、自身が知り得た情報のうち公開されていないもの」はすべて秘密となります。しかし非公開情報を公にしないことは、社会人としては当然持っていなければならない規範です。会社員でも公開されていない業務上の情報は社外秘部外秘も多いですしね。公務員の場合は法律で規定がある分、重みがありますが、民間人でも同程度の責務は負う場合は少なくありません。
そのアカウントが公営競技に関係する公務員であることと、同じくアカウントが公営競技選手や騎手であることの違いは立場の違いでしかないことは繰り返しておきます。今回の内定した若者も同様です。
公営競技関係者が外部と遮断されている時間を除けば、SNSを活用することは全く問題がありません。
③ですが、ツイッターはワールドワイドウェブで展開されているSNSです。その内容は特別な操作を経ない限りはインターネット上にあり、ツイッターの規約や利用者の国の法律に従う限りは自由に閲覧や引用等が可能です。
現在の規約および日本法では、日本国内のメディアがツイッター上のやり取りを引用の形で取り上げて報道、広報することは違法ではありません。引用については日本では著作権法で定義されていますが、ここでは詳しくは触れません。
今回の報道も含め、SNSで発信されてコメント等をソースに記事化することは何ら問題ありません。
回りくどい言い方になりましたが、私は今回の件では
・内定した若者は軽率な面は否定できないものの、「公開処刑」のような形で叱責される立場では何らありません。そもそもは笠松競馬公式アカウントがDMではなくリプライで返したのが間違いで、使い方がよく分かっていないならそんな人に使わせるなでおしまいです。
・公営競技関係者がSNSを使うことは全く問題ありません
・SNSでのやり取りがニュース等で報じられることも問題ありません、インターネットとはそういうものです
このように考えております。
内定した若者の軽率さは、笠松競馬側の対応の過ちで、大きすぎる罰を受ける形になってしまったのです。彼の軽率な発言は、そこまで大きな罰が必要なものでは全くないのです。
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笠松競馬場公式ツイッターの対応に関する一考察
2019/03/27 18:33 閲覧数(1382)コメント(0)
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