全日本選抜が２月に移って３回目、今日は決勝戦です。
以前は夏の風物詩だったり、グランプリ出場最後の切符をかける闘いだったのですが、今はグランプリ出場最初の切符を決める闘いになりました。
この「最初の」というのが結構重要な意味を持つのではないかと思うのです。

３年前までは日本選手権が最初の切符でしたが、日本選手権自体が歴史も長く、グランプリに匹敵する重要な大会で、グランプリ最初の切符と軽く言うのもはばかられますし、実際「結果として最初にグランプリ切符をつかんだ」程度の意識しかなかったでしょう。
１月に競輪祭が開催されていた時も、そんな感じに思えたのは、やはり競輪祭の歴史だったり、開催場が小倉固定なことが影響しているのではないかと。グランプリの名を出して競輪祭の価値をおとしめるようなことは、何より地元の重鎮が許さないように思います。

ところが、全日本選抜はそこまでの重みを意識せざるを得ない大会ではまだありません。今回が30回目の大会ですが、60年を超える競輪の歴史のようやく半分に届くかといったところ。オールドファンもオールド関係者も少なくない競輪界にとって、日本選手権や競輪祭ほどの重みがないのは明らかです。

となれば「最初のグランプリ切符」とうたう方が盛り上がりますし、それを阻むものはないに等しいです。２月８月という興行では苦戦する時期と世間では言われるだけに（ただし売り上げについては年末から２月くらいまでは他の時期よりは好調ですが）、こういう材料は大事なことです。

選手の立場から見ても、２月開催になってからこの大会の覇者のいる地区からグランプリ出場者を３人出しています。
２年前、平原選手の優勝を皮切りに、後閑選手、長塚選手と関東地区から３人、武田選手が高知記念でやらかして以降年内の出場ができなかったにも関わらずです。
昨年は村上博幸選手の優勝後、村上義弘選手、稲川選手がグランプリ出場を決めました。選手会騒動による長期出場自粛で村上兄弟の出場は危ぶまれましたが、早期解決もあって特別競輪優勝者を欠くことなく岸和田グランプリは開催されました。

前回も前々回も、グランプリで車券に絡んだ選手は全員、３人出場の地区だけです。その前は単騎で闘った村上義弘選手が優勝しているものの、あれは実質中部の３番手でしたし、基本的にグランプリを勝つためにはラインを厚くすることは極めて重要なことです。
そのグランプリのための闘いを堂々とできる大会が、２月開催の全日本選抜だと思うのです。


そういったことを踏まえると、今日の決勝の本命は武田選手にせざるを得ません。
やはり他より長い３者のライン、先頭はこういう闘いの経験豊富な平原選手、別線で強敵と思われる稲垣選手は同地区のラインではなく（番手を勝たせてもグランプリで味方を増やせるわけじゃない）、ギヤ規制後も強さを発揮する山崎選手も位置取りの下手さが克服しきれたとまでは言えない以上、２者ラインでは稲垣選手共々、本命にはできません。
武田選手も本調子には程遠く感じるものの、平原選手の強さ上手さを考えれば、勝てる展開が可能性としては相当高いでしょう。

武田選手をアタマから買うなら、ライン絡みは敢えて外した方がいいかと。単騎の選手が２人（浅井選手、桐山選手）、さらに店長（座長）さんも指摘されている大塚選手が、コースを突いてくる展開はじゅうぶんにあります。これに強い稲垣選手を加えた４人を相手にした車券を中心に据えたいと思います。ラインの平原選手、岡田選手絡みは元取り、取りガミ程度は押さえてもいいでしょうが。
もし筋車券にするなら、平原選手の逃げ切り、岡田選手の交わしの交わしを買いたい。特に逃げ切りは静岡競輪場は他の４００バンクに比べ１着逃げの決まり手が多く、昨日のように風が収まると自力選手がより力を発揮できるコンディションになるからです。風でバンクが重くなるなら、そんなコンディションでも勝ち上がった岡田選手の出番はあるかもしれません。