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中村憲剛と坂口晃輔

2014/06/13 8:25 閲覧数(3689)
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『あの時、貴方は何を見ていたのだろうか。』

高松宮記念杯競輪が始まり
全米オープンゴルフが始まり
サッカーWカップが始まり
四日市ガールズF1が始まる。

頭から離れない。
皆さんも覚えているだろうか。

サッカーW杯日本代表発表を追った映像を。
川崎フロンターレの遠征バスを撮った映像を。

父の命日に代表入りを決めた、大久保嘉人選手が話題になった。
サプライズ選出と騒がれた。
その陰に隠れて、同じチームの中村憲剛選手が落選した。

ザッケローニ監督がFWの
『大久保』と発した瞬間に、MFの中村憲剛選手は落選が確定した。
その表情を一瞬映してから、大久保嘉人選手にカメラが向かう。
チームメイトが歓喜に沸く。

その映像が繰り返し繰り返し、何度も何度も流れる。
僕は毎回、中村憲剛選手の表情に釘付けになった。
悔しさが滲み出ていた。
悔しさが溢れ零れていた。

『あの時、貴方は何を見ていたのだろうか。』

遠くを見ていた。
手の届かなかった、リオデジャネイロのピッチだったのだろうか。
自分が縦横無尽に動き、活躍している姿だったのだろうか。
四年分の試合を、走馬灯の様に再現していたのだろうか。

心境が知りたかった。
中村憲剛選手のブログを拝見した。
赤裸々に心境を記してあった。
胸を打たれた。
サッカー少年だった。
清廉潔白だった。

あの光景を。
あの表情を。
何処かで見た。

思い出した。
坂口晃輔選手だ。
156cm坂口晃輔選手だ。
四日市記念後の表情だ。

『中村憲剛』
『坂口晃輔』
赤競さんの字体なら、尚強く感じる。
競輪ファンが疼く字体だ。

今年の二月。
四日市記念は、浅井康太選手の完全優勝で幕を閉じた。
強かった。
完璧だった。
地元の雄に相応しい、競輪ファンの期待に応える素晴らしい走りだった。
この時期だったからこそ、浅井選手の闘志に男を感じた。
中部勢の結束を痛感した。

『小僧。浅井の祝勝会行くか?』
三重副支部長の花村直人選手からお声を掛けて頂いた。
『えっ。良いんですか。お邪魔じゃ無ければ参加させて下さい。』

千葉県松戸のしがない芸人が、四日間仕事を貰い、車券も獲らせて貰い、浅井選手の祝勝会にも参加させて頂いた。
四日市の懐の深さに、一生頭が上がらない。

浅井選手の祝勝会は盛大に行われた。
初めての祝勝会に胸踊った。
花村選手、小西誠也選手から谷口遼平選手迄、三重支部の選手が集まった。
改めて中部勢の結束力を感じる、素晴らしい祝勝会だった。

地元勢が活躍した記念開催だった。
千葉の人間だからこそ、羨ましくも嬉しい記念開催だった。
千葉の愚痴は森下太志さんに聞いて貰う事にしよう。

四日市記念に出走した地元メンバーは、見せ場をしっかり作っていたと勝手に感じていた。

『坂口は何を見ていたのだろうか。』

目を奪われた。
坂口は、遠くを見ていた。
僕はその光景を、遠くから眺めていた。
心此処に在らず。
祝勝会で、一人だけ切り抜かれた様な坂口が居た。
皆が楽しそうな笑顔の中、笑顔を作りながらも空虚な表情を浮かべている坂口を、誰にも気付かれない様に眺めていた。
悔しかったのだろう。
思い通りには行かなかったのだろう。

これだ。
一緒だ。
中村憲剛選手の様に、遠くを見ていた。
敢えて敬意を評して、思い入れを込めて、坂口選手を呼び付けにさせて頂く。

悔しかったに違いない。
泣きたかったに違いない。
妄想と想像に過ぎないが、そうに違いない。
坂口とは、挨拶程度しかした事はないが、貴方の競走は観て来ている。
坂口だけは見せ場が無かった。
僕が言える事でも、言える立場でも無いが、不甲斐無かった。
坂口は、間違い無く決勝に乗ると確信すらしていたからだ。

『6・2・5・4』

二次予選をマークで勝ち上がり、準決勝敗退。
坂口らしくない。と思ってしまう走りだった。
捲りに口が空いてしまう競走もあった。
らしく無い。
普段なら楽に追走出来ただろう。
しっかり仕事をし、前を残しながら追い込んでいたことだろう。

『お前は何様だ。』

言われても仕様が無いが、言わせて貰う。
らしく無かった。
坂口らしく無かった。

でも、あの時の表情や目の色を見て思った。

『坂口は必ず強くなる。』

改めて、確信した。
あの目は本物だ。
悔しさが発していなくても、滲み出てしまうアスリートは強くなる。
何の根拠も無い。
何の理論も無い。
しかし、目の当たりにして思って感じた。
中村憲剛選手と同じだ。

競輪ファンの醍醐味。
妄想と想像と経過と結果。
競輪ファンは馬鹿じゃない。
結果だけで判断しない。
見守る術を熟知している。
経過を堪能出来る特殊な能力を身に付けている。
次のレースに向かう、貪欲な姿勢を身に付けている。

明日から
『四日市ガールズF1ナイター』が開催される。
『高松宮記念』の裏開催。

『坂口。』
宇都宮に居たかった事だろう。
悔しいだろう。
宮杯で走りたかっただろう。
S級では唯一の地元斡旋。
地元五割増し。
ペルビスが居る。
どうするのか。
宮杯に引けを取らない。
楽しみで仕方無い。
14日に四日市本場に伺わせて頂く。
車券が当たり次第、バイトを休み決勝を観る。
坂口の走りをと、鼻息荒くなっている。

『1・1・1』
とは言わない。
そんなマーク屋は好きにならない。
『9・3・1』
とも言わない。
そんな器用な自力型競走は求めてない。
『2・2・1』
を、心待ちしている。
その場合、前の自力選手をしっかり残して居る事だろう。
マーク、マーク、差し。
『3・3・1』
S級初優勝の様でも良い。

前場所松山ナイター決勝
サテライト妙高さんのギャラを全て
『愛敬=坂口』に突っ込んだ。
結果
愛敬選手が八番手に置かれ、捲り不発。
『愛敬8着』
『坂口9着』
で、決定した。
一文無しになった。
そんな、坂口が好きなんだ。
抜けなったのか、抜かなかったのか何て、不毛な議論はどうでも良い。
真意を知りたいとも、知ろうとも思わない。
捲り不発でも、年上の愛敬選手に切り替えず追走した事に意義が有る。
そんな、人間を尊敬する。
そんな、マーク屋に憧れる。
そんな、マーク屋を粋に感じる。
そんな、寡黙で実直なマーク屋が好きなんだ。

そんな坂口が好きなんだ。
そんな競輪が好きなんだ。

貴方は、あの時期あの一番強かった
『武田豊樹』選手を唯一止めた。
『ヤンググランプリ2011 村上直久選手との攻防』と同じ強い衝撃を受けた。

貴方は
『小倉竜二』選手や
『小野俊之』選手と同様、特異した何かを持っている。

声援が響き、声援が届く様な気がする四日市競輪場で力一杯叫ぼう。

『坂口、頼むぞ。』



競輪小僧
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コメント(6)

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Majin

大作ですね!
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オート太郎

読み応えがあった。
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あきひろ

ええコラムやん!
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セーナパティ

競輪小僧さん、こんばんは。

小僧さんて、本当にに優しく繊細で…

その反動が、ギャンブルなんですね。

今年の千葉記念、ロイヤル席買って、お待ちしていますm(_ _)m
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shigesan

こよなく競輪を愛する競輪小僧さんに乾杯????
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