ガールズケイリン分析2024年 part1(2024/4/19)

 ガールズケイリンも13年目となり、選手数も180人を超え、ついに昨年度(2023年度)からはGP・GI のグレードレースも設定された。 このコーナーでは2018年に「ガールズケイリン分析」を行ったが、6年ぶりに2024年版として再分析を行う。

  

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◆調査対象レース


今回の分析は、直近3年(2021年1月~2023年12月) 7車立てレースを調査対象とした。

公平な比較となるよう7車立て限定としたので、比較対象のS級戦にグレードレースはほとんど含まれておらず、FI戦中心であることにご注意いただきたい。

1. 配当額


男子競輪との比較

表1にガールズケイリンのレース配当額を男子競輪と比較した。一部の極端な高額配当の影響を受けない中央値で比較している。

表1. 男子競輪との配当比較
クラス2車単中央値3連単中央値
ガールズ全体520円2,000円
男子全体940円3,780円
S級戦1,170円4,680円
A12班戦1,010円4,030円
チャレンジ620円2,480円

男子競輪と比べて、ガールズケイリンの配当は中央値比較で半分強と低くなっている。

男子競輪ではチャレンジの配当中央値が最も低いがそれでも2車単・3連単ともガールズケイリンの1.2倍ほどあるぞ。

レース種類別の比較

ガールズケイリン全体を、「普通開催」と「特別競輪(*1) 」に分けて配当額を比較した。また「普通開催の決勝レース」に限定した、および「特別競輪の決勝・単発レース」に限定した集計も行った。

*1) ガールズケイリンの特別競輪

2021年~2023年に行われた、次の特別開催および単発レースを特別競輪とした。

ガールズグランプリ(GP・単)、パールカップ(G1)、オールガールズクラシック(G1)、競輪祭女子王座戦(G1)、ガールズコレクション(単)、ドリームレース(単)、アルテミス賞レース(単)、ガールズケイリンフェスティバル、ガールズコレクショントライアル、ガールズグランプリトライアル、ティアラカップ(単)、ガールズフレッシュクィーン(単)、ルーキープラス(単)、ミッドナイトフィナーレ(単)

表2. レース種類別の配当比較
レース種類2車単中央値3連単中央値
ガールズ全体520円2,000円
普通開催510円1,945円
普通開催決勝670円3,210円
特別競輪1,110円5,830円
特別決勝・単発1,780円6,890円

普通開催に比べると特別競輪は2車単中央値で2倍強、3連単中央値では約3倍になり、表1の男子全体の配当額を上回る。 特別競輪の決勝・単発レースとなると、さらに配当額は高くなる。

男子競輪もそうじゃが、能力のある選手が増えるほど予想が難しくなって配当が上がるのじゃな。

2. 1番人気選手の勝率と単回収率


男子競輪との比較

ガールズケイリンの1番人気選手(*2) の勝率と単回収率(*3) を男子競輪と比較した(表3)。

*2) 1番人気選手

2車単オッズで単支持率が最も高い選手

*3) 単回収率

対象選手を1着とし、2着がどの選手でも払い戻しが同じとなる資金配分で全流しの2車単車券を購入することを想定した回収率。つまり単勝車券を想定した回収率となる。

表3. 男子競輪との1番人気選手比較
クラス 勝率 単回収率
ガールズ全体68.2%77.7%
男子全体49.3%75.4%
S級戦44.5%75.0%
A12班戦47.0%75.1%
チャレンジ59.6%76.5%

ガールズケイリンでは1番人気選手の勝率は68.2%と非常に高い。さらに、勝率が高いガールズケイリンの1番人気選手は単回収率も77.7%と高い(*4) ガールズケイリンでは1番人気選手を軸とした車券は回収率的にも有利である。

*4) 競輪の還元率は75%であるため、ここではこれを基準に'高い'・'低い'を判定する

男子競輪でも、スピードある新人選手とピークを過ぎたベテラン選手が混在するチャレンジレースでは、1番人気選手の勝率は59.6%となるが、それでもガールズケイリンと比べると10%近い差があるぞ。

レース種類別の比較

ガールズケイリン全体を「普通開催」と「特別競輪」に分けて1番人気選手の勝率と単回収率を比較した(表4)。

表4. レース種類別の1番人気選手比較
レース種類 勝率 単回収率
ガールズ全体68.2%77.7%
普通開催68.6%77.8%
普通開催決勝62.5%74.4%
特別競輪56.0%73.9%
特別決勝・単発41.5%56.3%

普通開催に比べると特別競輪では1番人気選手の勝率は12.6%も低い。普通開催、特別競輪とも決勝・単発レースとなるとさらに勝率は低くなる。また表4の勝率と回収率の関係をみると、勝率が高くなると単回収率も高くなる相関関係があることが分かる。(*5) 

*5) 表4 における勝率と単回収率の相関係数は0.96

ガールズケイリン全体としては1番人気選手の単回収率は高いが、特別競輪の決勝・単発レースでは単回収率は 75%を大きく下回る 56.3%となっている。 特別競輪の決勝・単発レースに限れば、1番人気選手を軸とした車券は回収率的には不利となるようだ。

配当のお話と同じく、結局能力のある選手が増えるほど予想が難しくなるのじゃな。

それでも勝率と単回収率が極端に低くなる「特別競輪の決勝・単発」以外は、ある程度1番人気軸を意識しても悪くなさそうじゃのぉ。

3. 決まり手比率


男子競輪との比較

ガールズケイリンの決まり手比率を男子競輪と比較した(表5)。

表5. 男子競輪との決まり手比率比較
クラス1着決まり手2着決まり手
逃げ捲り差しマーク逃げ捲り差しマーク
ガールズ全体21.3%48.6%30.0%0.1%14.1%23.1%14.0%48.9%
男子全体25.4%28.4%46.1%0.1%20.0%13.3%25.7%41.0%
S級戦17.1%30.4%52.4%0.1%18.7%15.9%27.4%38.1%
A12班戦23.3%28.1%48.5%0.1%20.5%13.4%26.1%40.0%
チャレンジ38.6%27.1%34.1%0.1%20.3%10.5%22.9%46.4%

1着決まり手は、ガールズケイリンでは「捲り」が最も比率が高い。ガールズケイリンはラインがなく、横の動きも制限されている。前団選手のブロックを受けることが少ないガールズケイリンでは、「捲り」はとても有利な戦法である。

2着決まり手は、男子競輪・ガールズケイリンとも「マーク」が最も比率が高いのだが、特にガールズケイリンでは2着決まり手の半数近い48.9%が「マーク」となっている。 ガールズケイリンでは、「捲り」の決まり手が多い選手を軸とし、その選手の後位を占めそうな選手を連下とした車券が的中率的には有利となりそうだ。

1着決まり手じゃが男子競輪ではS級・A12班戦では「差し」、チャレンジレースでは「逃げ」が最も高くなっているな。

「捲り」の比率が高いのはガールズケイリン独自の特徴みたいじゃのぉ。

レース種類別の比較

ガールズケイリン全体を「普通開催」と「特別競輪」に分けて決まり手比率を比較した(表6)。

表6. レース種類別の決まり手比率比較
レース種類1着決まり手2着決まり手
逃げ捲り差しマーク逃げ捲り差しマーク
ガールズ全体21.3%48.6%30.0%0.1%14.1%23.1%14.0%48.9%
普通開催21.2%48.5%30.2%0.1%14.3%23.0%14.0%48.7%
普通開催決勝14.8%49.4%35.4%0.4%10.7%28.7%13.5%47.2%
特別競輪23.0%51.6%25.5%0.0%7.6%24.8%13.4%54.1%
特別決勝・単発14.6%56.1%29.3%0.0%7.3%22.0%19.5%51.2%

1着決まり手は、普通開催より特別競輪のほうが「捲り」の比率は高くなっており、特別競輪の決勝・単発レースとなるとさらに高くなり56.1%にも上る。 また普通競輪・特別競輪とも、決勝・単発レースでは、1着決まり手の「逃げ」がかなり低くなるようだ。 2着決まり手は、普通開催より特別競輪のほうが「マーク」の比率はより高くなっており、特別競輪では「逃げ」の決まり手がかなり低くなっている。

さて今回のお話をまとめるとこんな感じじゃな。

・普通開催の予想は男子競輪と比較して容易だが、能力のある選手の出走割合が増えるほどに難化

・基本的に1番人気選手を軸とした車券が回収率は有利(能力のある選手の出走割合が多い場合は例外)

・決まり手は1着「捲り」2着「マーク」、この傾向は能力のある選手の出走割合が増えるほど顕著


▶次回「ガールズケイリン分析2024年(part2)」

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