八月八日の小松島競輪最終日のS級敗者戦――叩き合いを捲る想定で西村光太から買っていた。中団確保も容易に思えたから。が、意外にも西村は車を下げず、イン粘りだった。しかも本線の番手の方でやった。ま、こうなったら仕方ない。早めにドカしちゃえ――! 俺は「作戦変更」を声にするが、◎佐藤康紀のヨコは重たい。けっこういい競りにはなったが、最後は西村が内側をズルズル後退してゆくのを視認しながら、俺は脱力した。
ゴールは某にマークしていた濱口高彰が絶妙なスイッチから頭まで突き抜け(写真判定の末だ)、二着三着にはそれぞれライン三番手まわりの選手が入り、三連単は二十五万余の穴だった。
西村が闘ってその後ろのハマちゃんかァ――。うん、そう考えれば、買えなくもない——。着外にはなったけど、以後佐藤のマーク根性は気に留めなきゃ――。もちろん西村の勝気もね。そうだ奴は96期の在校一位じゃないか――。旧式の脳内装置にせっせとメモする俺が居る。
こうやって小まめに競輪に現を抜かしていれば、長生き出来るかしら――。
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