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師匠と弟子

2018/03/25 1:36 閲覧数(2411)
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『aiko聴いてたら仕事にならねぇなぁ。』

ラーメン職人も競輪職人も顔が命。
どんなラーメンを作るか、どんなレースをするか顔に滲み出る。

『この顔の選手が、こんなレースを!』
と、思わせてくれるギャップに男女共に惹かれる。
『この顔の選手が、やっぱりこんなレースを!』
と、思わせてくれる選手にも必ず惹かれる。

多種多様。

ラーメンの種類も多種多様。
競輪選手の個性も多種多様。
世代交代は早そうに見えて
競輪選手と同様、意外にそう簡単には行かない。
名店、名選手は、熟練された技を駆使しながら生き残りを図る。

今年で37になる競輪好きでラーメンも好きなフリーター。
遠征地の旨いラーメン屋に行って、自宅に帰って来たら此処に寄る。

私が中、高校生の時に千葉県で大ブームになり、旋風を巻き起こしたくれたラーメン。
深谷知広選手の20連勝と同等の衝撃を与えてくれた
『背脂チャッチャ系ラーメン』
とんこつしょうゆベースのスープに背脂の豪雪を親の仇と云わんばかりに降らせて、これでもかと駄目押しニンニクを効かせた実に男らしいラーメン。

濃い、クドい。
37にはキツイと分かっていても、食べた後に後悔すると記憶に揺さぶられても、一口目の爆発力に魅了され通い続けて早20年。

競輪選手に例えるとヤンググランプリを獲ってから一時期は苦労したが、数年後不屈の精神でグランプリに返り咲き。根強いファン多数。王道、外道、何方も経験し召喚させたかの様に自分の持ち味を熟知し、遺憾無く発揮出来る泥臭い中堅レーサー。
口癖は、着より見せ場。
買い続けて早20年の様な選手。

迷った時は必ず、手を差し伸べてくれる存在。

背脂チャッチャ系は
健康ヘルシーラーメンの対義語にあたる。

主人の風貌も全く違う。
『僕が君の為に作った有機野菜ラーメン食べてごらん。身体に良いよ♡』
戦闘服はパリッとした白いシャツに黒い前掛け。
一方は
『俺が旨いと思うラーメンは旨い。喰らえ!身体に悪いぞ!でも旨いぞ!』
戦闘服はタオルのねじり鉢巻に店名ロゴ入り脂まみれのTシャツに防水白前掛けに白長靴。
違いは一目瞭然。
接客も雲泥の差。
『紙エプロン御利用になりますか?』と、云わんばかりのスタイリッシュな振る舞い。
『スープ残したらどうなるか分かってますか?』と、云わんばかりの昔堅気な迫力。

何方の店主が作ったラーメンを食べたいか。

真っ先に後者の店主を選ぶ。
威圧されている錯覚に陥りながらも、背筋を伸ばしながら無心で無言でラーメンは食べたい。
写真を撮って見せたいと思う人生を歩んで来なかった。
いや、発信して同調をして欲しい。
と、思う幸せな人生を送って来なかった。
今が美味しいと思える幸せを他人にも味わって欲しいと云う願望が芽生えなかった。

検車場でのコメント
『練習はしっかりやって来ました。調子は良いです。応援宜しくお願いします。』と
『調子!?良いも悪いも無いよ!レースが来れば走るだけ。』
何方のラーメンを食べるか。
私は間違いなく後者のラーメンを食べる。
透き通って出汁の効いたスープより
何が入ってるか分からないが何故か旨いラーメンと何をしてくるか分からない競輪選手に惹かれる。

そんな老舗ラーメン店
いや、叩き上げラーメン店での一コマ。

如何にも旨いラーメンを作りそうな強面40代店主がAMラジオから流れる
aikoの『キラキラ』を聴いて一言呟いた。

『aiko聴いてたら仕事にならねぇなぁ。』

aikoへの強い思い入れ。
これがまさしくギャップと云う代物だと思う。
矢沢永吉と長渕剛を足して二で割った、ラーメンのトッピング以上に底上げをしてくれる強面店主がaikoを聴いて感慨に耽る。
今の奥さんでは無く、前の彼女を思い巡らす様な苦笑いを浮かべている。
aiko好きな元彼女を勝手に妄想する。

20代前半の弟子も
『そうですねぇ。高校時代を思い出します。』
と、相槌を打つ。

いやいや、貴方世代は西野カナでしょ。
と、思いながらも20代前半のヤンチャな強面青年にも届くaikoの歌声。
歳上の彼女でも居たのか。と、また妄想を膨らませてくれる。
深夜二時の厨房に
哀愁が漂っている。
三人の男がaikoの魔法にかかる。

その短い遣り取りに
泣けてくる。

その光景を眺めながら背脂ラーメンをすする。
下手なドラマよりも見応えがある。
下手な映画よりストーリーを把握出来る。

ラーメン店の師弟関係は
競輪選手の師弟関係と同じなのだろうか。
落語家の師弟関係は
競輪選手の師弟関係と同じなのだろうか。

見て学ぶ。
背中で教え
それを受け取る。

そんなラーメン店での一コマをふと思い出す。

控室にて
三住博昭選手と
堀内俊介選手の会話を聞いて感慨に耽る。

師匠と弟子。
そんな複雑で親よりも絆が強く
深い二人を観ながら思う。
この絶景はどの観光名所より輝きが違う。

会話より呼吸。
二人が並べば今までの時間が滲み出る。
こんな光景を間近に観れる事に感謝しよう。

写真!?
映えるから撮るものじゃない。
撮りたいと思う気持ちが映えさせるのだ。

一瞬、写真家の気持ちを解った様な気がしました。
ありがとうございます。

三住選手と
堀内選手の
更なる飛躍を願っております。




競輪小僧
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競輪小僧

若爺様

貧乏性なのでしょう。
車券以外は安くて腹一杯になりたい。
脂がとにかく好きで。
天下一品のこってりも最高です。
近くに有れば今直ぐにでも。
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