獲りたければ「先行なし」と説いた平原康多が一周逃げて優勝なのだから、俺には松山記念の決勝を回顧する「資格なし」だ。その代わりといっては何だが、極私的に選んだ「名脇役賞」を発表することにしよう。
受賞者は岡山82期の立花成泰、四日間の成績は五着三着八着三着で、二つの三着が該当競走となる。
たまに俺は得意げに述べる。――競輪は同じ目がつづくことも、逃げ切りがつづくことも、十万車券がつづくこともよくあるが、まったくおなじ展開がつづくことは、まずない、と。
二日目最終日とも最終バック三番手通過の立花であるが、両競走とも他派の最終二角捲りが四角附近で届くという厄介な状況。しかし立花の反応は周りよりコンマ何秒速かった――! 買っていた人にはたまらない二車単410円から三連単2,230円、二車単1,710円から三連単18,060円は、三連単という賭け式の筋違いの威力をまざまざと見せつけた。
今さらそんなこと遅い遅い――。立花という選手の特性をとっくに知っているどこぞの競輪ファンが、もっともっと彼のバイ・プレーヤーぶりを教えてくれることだろう。
そういえば立花の師匠である飯田洋介(岡山50期)は、特別競輪でもしぶと~い競走で好走する名脇役だったと記憶する。
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