二車単350円から三連単マンシュ―は一番の三着薄目だった。
◎〇で決まった場合、その三番手の三着、別線ハコ選手の三着あたりが三連単の人気どころとなる(もちろん各選手の脚力、当該競争のライン構成にもよる)が、最近のマイブームは◎〇から別線の逃げ選手の三着だ。とくに妙味は一番弱い逃げ。叩き合いにも参加できず見せ場すら作れない。が、幸いにも余した脚で確定板に届いちゃう。出現率は低いが上手く拾えれば儲かることもある。ま、理外の理(誤用容赦)をドンと打つことはできないけれど……。
中央競馬は枠複と単勝、競輪と競艇は枠単で覚わった。血気盛んな競輪の季節のほとんどは枠単、車単のギャンブルだった。三着を推理するギャンブルの歴史は俺の中ではまだ浅いのだ。と記せば「現役バリバリ」の車券師たちに笑われるだけか。
「下手な考え休むに似たり」は承知の上で、俺は「買い方」を考えるのが好きだ。車券でも舟券でも馬券でも、たとえクイック・ピックの宝くじでも。真剣に計算表を作ったり、訓を記したり。唄にしたり、俳句にしたり……。そんなことばかりの半生であった(ちょっと大仰だな)。
――次のレースの地乗り(スタート練習)がはじまっている。ゴール前で、ストップウォッチを六個はめこんだ器具を手にしたファンたちが、各艇のタイムをとっている。「あれは何をしているの」「エンジンの調子をみているのだ。競艇はエンジンのレースだからな」「研究すれば当たるかい」「何をすれば当たるという保証はないね。しかし、何もしないわけにはいかないし、また何もしないよりはいくらかましなんだ」「俺は、何もせずに当ったけどな」「うん、そういうこともある。だが、今日一日で終りじゃないからな。ばくちは通算打率だ。ここにかよっている以上、彼等はそれなりにそのことを知ってるよ」――阿佐田哲也著『新麻雀放浪記 申年生まれのフレンズ』の平和島競艇場の景は俺のバイブルである。
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