ブログ

名前の筋で買う車券

2020/01/13 15:42 閲覧数(537)
このブログを違反通報します
違反通報のフォーム画面へ移動します。
「十一月二十七日の松阪競輪10レース、◎伊藤信から伊藤健司、吉武信太朗と抜けて三連単は30,500円だった。「伊藤と伊藤」に「信と信太朗」の語呂あわせを、出目の類いと一緒にしては神聖な出目論者に叱られるだろうか。こじつけの出目や駄洒落で車券を買うことを是としないひともたくさん居られようが、「この味」を知らずにギャンブルを終えるのもちょっと損なような気がする。って大きなお世話でしょう――。自分とおなじ竹林姓でおぼえているのは竹林秀盛(熊本26期)という選手だが車券の記憶はない。もうひとり資料によれば竹林優という名が検索されるが、香川籍の8期生では知る由もない。」――昨年の文章に本日(二千二十年一月十三日)、和歌山記念最終日を見ながら書き足します。
 第一競走は三谷、三好、三槻、の「三・三・三」で三連単35,300円。第二競走が田中、中田の「逆さ同姓」は二車単7,420円。第四競走、佐藤幸-松本大の捲り・マークを買ったら、最人気薄セットの佐藤瓦-松尾淳が最後に捲り寸チョンは二車単10,250円。ああ、これは「佐藤」と「松」の代用品です(ちょっと苦しいか)。第八競走は野田「源一」-大坪「功一」の「一・一」の二車単980円は駄洒落で買うには安すぎる。
 当たりから遠ざけられているのか、自ら遠ざかっていくのか、よくわからなくなり、劇画『河童の三平』の魔界に似たギャンブルの沼地を迷子になるのも、また格別である。な~んて格好つけている場合じゃなかろう。
「……あの男はこの競走は穴が出そうだと、厩舎のニュースを訊き廻ったが、訊く度に違う馬を教えられて迷いに迷い、挽馬場と馬券の売場の間をうろうろ行ったり来たりして半泣きになったあげく、血走った眼を閉じて鉛筆の先で出馬表を突くと、七番に当ったのでラッキーセブンだと喜び、売場へ駈けつけていく途中、知人に会い、何番にするのかと訊けば、五番だという。そうか、やはり五番がいいかねと、五番の馬がスタートでひどく遅れる癖があるのを忘れて、それを買ってしまうのだ――人々はもはや耳かきですくうほどの理性すら無くしてしまい、場内を黒く走る風にふと寒々と吹かれて右往左往する表情は、何か狂喜じみていた。」――織田作之助が佳品『競馬』で今とはまったく違う昔の競馬場を絶妙な筆致で描写している。
 第十競走が今さっき終り、林慶次郎の逃げから「抜け抜け」の中村圭志、中村浩士(中村・中村&キヨシ・ヒロシ)で三連単101,160円とこじつけたって誰も相手にしてはくれまい。
 午前十時すぎから今まで競輪中継のテレビは当然消音、代わりにアクティブ・スピーカーからは「レッド・ツェッペリン・ザ・コンプリート・スタジオ・レコーディング」がずうっと流れているのだが、ちょいと気分転換におもてへ出たほうがよさそうだ――。


  • 読者になる

現在、コメントの投稿を受け付けていません。

TOPへ