みなさん、こんにちは。
ヤマコウです。

先日終わった静岡記念、こんな質問が私のTwitterに届きました。

『静岡記念決勝、郡司はなぜ番手から出ないのでしょう？
凄く競輪が好きでしたが、最近の競輪に憤りを感じます。
今の若手は、ラインと言いながらあまり先行しないし、
段々と競輪の終わりを感じます』

今回の静岡記念決勝戦、
渡辺雄太（105期・静岡）の番手を回った
郡司浩平（99期・神奈川）の走りが納得できないと言うファンの意見は多いです。

『地元の渡辺雄太が先行して
地元の岡村潤（86期・静岡）が3番手を回るのだから
かぶる前に番手から出て、岡村と直線勝負で良かったのではないか。
あのまま雄太がゴールまで粘れると思えないし。
そしたら俺の車券も当たったのに…、それなら負けても納得する』

みなさんの意見はこんな感じでしょうか。

しかし、ここに
ファンと選手の温度差を感じます。

走っている選手（この場合は郡司）は
『小松崎さんも止まったし、浅井さんの影も見えていないので
出来れば4角まで待って、南関4人でゴール勝負できるといいな』

とバックで考えたと思います。

実際には、小松崎大地（99期・福島）の後ろに
さら足の浅井康太（99期・三重）が忍び寄っていたのですが…

郡司が気付いた頃には、浅井のスピードが良くて併せきれなかった。
そして浅井優勝。
郡司は3着、
3番手の岡村は5着、4番手の松坂洋平（89期・神奈川）7着、
先行した渡辺雄太は8着、
と南関勢は惨敗しました。

郡司の優しさ？気の迷い？が仇となりました。


雄太が先行してゴール勝負で南関1-2-3-4が理想です。
しかし、このメンバーで雄太が打鐘前から先行したら残る可能性は低いです。
それがわかっているから、雄太は打鐘過ぎから
誰が来てもいいように後ろを見ながら駆けています。
かましてきたら、空いたところに飛び付く事も視野に入れていたのでしょう。

それでも、誰も来なかったので腹を括って先行した。
あとは郡司の判断に委ねられました。
「来たやつ全部止めてやろう」
と郡司はホームで考えていたと思います。

しかし、バックで雄太は力尽きてしまった。
ここから郡司は頭を「岡村とのワンツー」に切り替えるべきでした。

瞬時の判断が出来なかったのが敗因です。

ファンが何を求めているかを、読み間違えました。
走る選手はアスリートとしてレースに挑んでいる反面、
ファンは、レース観戦と同時にギャンブルを楽しんでいます。

ボタンの掛け間違いはここではないでしょうか？

「地元勢を番手まくりしたくない」
という気持ちもあったと思います。


私は
「勝負はレースだけではない」
と思っています。

時には同地区でよく連携する選手にも
自分を主張しなければいけない時がある。
その代わり、普段のレースでしっかり自分をアピールする。

嫌われることを恐れないのがプロだと思います。

このレースが神奈川の競輪場だったら、
郡司は迷わず出たと思います。
前を駆けているのが、地元の雄太だけに心の隙が生まれました。



ホームのスピードが持続していたら、浅井を併せることも可能だったでしょうが、
今のギヤ（3.92）では、
1度スピードが落ちたところから、
番手選手が踏んでもすぐにトップスピードには上がりません。
ここに大ギヤ競輪の難しさ（走り手側、読み手側）があります。

私たちが育った時代の競輪は、自分の役割がはっきりしていました。
しかし、今の競輪は役割分担がはっきりしていません。

これは、競技規則が変わり、
横の動きが制限され、
誘導タイムが上がり、
誘導員を切るタイミングも厳しく、
切って切ってドーン！のケイリンを目指してきたからです。

追込み選手が育たなくなった土壌が、今に繋がっています。

野村監督ではありませんが
『レースを作るのは追込み・マーク選手』
が私の持論です。

脚力がない選手の方が
相手の出方や、走り方のクセなどをよく研究しています。
そこを深めないと脚力勝負では勝ち目がないからです。
縦脚を磨くことばかりでなく、
ファンが何を求めているか知ることも一流の条件ではないでしょうか。

コメントとラインの関係については
またの機会にでも書きたいと思います。

新型肺炎でとんでもない状況になっていますが、
奈良記念楽しんで下さい。