ブログ

競輪選手の元妻

2017/12/16 8:14 閲覧数(10477)
このブログを違反通報します
違反通報のフォーム画面へ移動します。
転勤した事業所に彼女はいました。
とびきり綺麗な印象はないのですが、仕事はてきぱききっちりこなし、明るい女性でした。
私は仕事中でもスポーツ新聞の競輪欄を机の上に出しっぱなしのダメリーマン。
朝から今日の鉄板!!!と騒いでは夕方には肩を落とす結果を繰り返す日々。
それでもたまに当たるとよっしゃ!と声を上げる姿を彼女は何も言わず笑顔(苦笑)でやり過ごしていました。

何事もなく1年過ぎる頃、彼女は退社した。
退社後も気の合う連中との呑み会に彼女は参加していたので、いつもそこにいる退社前となんら変わらない存在。
そんな日々が何ヶ月か過ぎたある呑み会の日にちょっとした事件がありました。
彼女が突然・・・
「私離婚歴があるの。別れた旦那は競輪選手なんですよ。」
えらくあっさり話されてしまったが、私はものすごい罪悪感に襲われていた。
彼女が競輪選手と離婚したことも知らずに毎日職場で競輪の話をしてはしゃいでいる私の姿を見て彼女はどう思ったのだろう。
そう思うときっと不快な思いをしたのだろう。罪悪感で一杯の私に彼女は話を続ける。
「競輪が大好きなんですよ。今度連れて行ってください。」
意外な言葉に私はすぐさま返事を返します。
「女を連れて競輪場に行っても勝てないから。」
彼女はお酒が入っているせいかなかなか退いてくれない。
「女1人で競輪場に行くのは目立つのでお願いします!」
そこまで言われると断ることもできず約束をしてしまった。
まったくだらしない男だ。

約束の日。
某競輪場について出走表を手にした彼女はさすが情報通。
「この選手の奥さんは綺麗なの」
「この選手は冬期移動でアパート借りっぱなし」等々
情報は車券につながらないものばかりだが、聞いていると競輪が新鮮に思えるから不思議だ。
その日は2人ともソコソコ浮いて気分が良かったので次の約束もしてしまった。
とことんだらしない男だ。

帰り道に元旦那の話を聞かされた。
自宅に帰った私は教えてもらった元旦那をKEIRIN.JPで検索した。
A級でそれほど強い選手でもない。
そら名前も知らないわ。
過去のレースを見ても歯がゆいレースばかり。
人の後ろを回っているが横の動きはそれほど・・・
結果、別線ラインが横の動きがないことを知っていて余裕で外併走されている始末。
年齢ももう30代後半にさしかかっている。
綺麗なレースをするポリシーでもあるのか?そろそろ厳しいレースをしてもいい年齢じゃないのか?
ただ、A級で中間着ばかりを並べているのは最後までレースを捨てずにゴールまで踏み切っている結果だろう。
きっと力を出し切り中間着を拾うことが選手としての生命線なんだろう。
この元旦那の弱い選手が憎めない。そんな印象だった。

2回目の約束の日
なんと!!!
元旦那が誘導をやっている!!!
彼女は驚いて見つからないように隠れようとするがしっかり元旦那を見つめている。
もうレースはそっちのけで誘導ばかりを追っている。
「まだ元旦那のこと大好きなんだ。」
彼女は恥ずかしそうに「人として尊敬できるから。」
そのあとあわてて「でも元には戻れないのです。」と付け加える。
別れた理由は当人同士にしか判らない話なので聞くつもりはないが「別に別れても好きだっていいじゃないか。」というと彼女は黙ったままだった。

彼女とはその後も何度か競輪場や呑み会を同席している。
彼女は元旦那のレースは見ていないようだ。
彼女の今の仕事は忙しくて大変らしく、たまに愚痴を話してくるがなんとか頑張っているみたいだ。

彼女に伝えたいことがある。
元旦那のレースを見てあげて欲しい。
力が足りなくてもゴールまで頑張って踏み切っているよ。
中間着ばかりだけど必死に競輪にしがみついているよ。
そんな元旦那をもう一度支えてやってもらえないか。
まったくもって余計なお世話なんだが・・・
  • コメントする
  • 読者になる

コメント(0)

投稿する
※コメント投稿後は編集・削除が行えません。投稿前に内容をよくご確認ください。
※コメントは承認制の場合があります。管理側で内容を確認するため、反映に時間がかかる場合があります。

Gambooでは、人が嫌がるような発言、著作者の許諾のない文章の投稿、公序良俗に反する投稿等を禁止させていただいております。禁止行為が確認された場合、予告なく削除、コミュニティ機能の利用制限、退会等の処理をさせていただくことがありますのであらかじめご了承ください。
コミュニティのご利用ガイドライン
TOPへ