前回当欄の題目「みっともなくていけねぇ――。」にて私は、七月二日の川崎A級決勝(若い自力-若い自力-先輩の自在-先輩の追込と折り合った埼京四人の三番手を栃木のマーク屋が競り、対する南関両者という二分戦)を観た読後感を以下の拙文で記している。
“展開は二車ラインの南関を出した山田(埼京の先頭)がどっしり捲りに構え(本人の気分は異なるかも知れないけど……)寺沼(埼京の番手)のハコ差し。律儀に? 競りつづける三番手両者と、更にその後ろも「これない」競走で、四車身遅れた三着には奥原(南関の番手)の前残りとなった。/どう並ぼうと、どう走ろうと、競輪は車券が介在するプロ・スポーツであるから、好悪など定まらぬが常だが、気に染まぬ後味は残った。ま、この一番人気の画が薄ぼんやりとも浮かばない私の競輪が駄目だという証左でもあるのだが――。”
あらためて自身で読み返すと実に女々しい。
昨晩(七月八日)、前述とは真逆の見映えをもよおす競輪を目撃したのでつい報せたくなった。
当該の静岡S級決勝は鈴木裕(千葉)-中村浩士(千葉)-二藤元太(静岡)-五十嵐力(神奈川)の南関四人。対するはアッと驚く宮杯制覇から強い強い宿口陽一(埼玉)で、その番手を佐藤和也(青森)と坂口晃輔(三重)がドンから競る。地域的にも譲れない佐藤とマークの格主張の坂口は95期の同期でもある。因みに宿口と坂口は初日に組みあわせの妙もありラインを組んでいる(きれいな逃げ・マークで坂口の番手の仕事が光った)。
後ろが競りでもまずは先行と宿口が再三叩きに行くが鈴木も頑として譲らず一周近くの雁行。大雑把に括れば鈴木も宿口も自在屋、その自在二人が踏んだりやめたりを繰り返すのにツキアイながらマークを取りあう佐藤と坂口が健気であった。
突っ張りきった鈴木が逃げまくる。それでも諦めない宿口の渾身の捲りは中村の絶妙ブロックに浮いてしまい、ゴールは中村が鈴木を楽に差し二藤までしっかりつづく南関ワンツースリーの幕切れとなった。
今日はい~いドラマ観させてもらったなァ――。
競輪帰りに立ち寄る一杯飲み屋で時折でる先輩の口跡を真似されてもらおう。
しかしまァ、また女々しくて恐縮だが、そんなドラマチックな競輪の画を、ぼんやりとも想えなかった私の鈍さが嫌になる。
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