青森記念競輪は佐々木雄一(福島・83期)の優勝で終幕した。阿部拓真(宮城・107期)のブン駆けを坂本貴史(青森・94期)は最終二角から後ろも見ずに番手捲り、三番手の佐々木がズブリ突き抜け、初めての記念ウィナーとなった。
佐々木がマーク追込に戦法を転じた変わり目をはっきりはおぼえていない。彼の競輪をつぶさに見つづけてるわけでもない。が、時折、あぁ佐々木はこんなレースも出来るのだ、と、おどろいたり感心したり。その回数がだんだんと増えていくのはおそらく、佐藤慎太郎(福島・78期)や成田和也(福島・88期)といった見事なお手本が近くに居るからだろう。
「競輪は伝染(うつ)るンだよ――」は、Wの口癖だった。
出目がひきずるのも、いやにズブズフが多い日も、落車が頻繁におこる日も、本命の日も穴の日も、Wは「な、伝染るンだよ、競輪は――」で済ましていた。
本日(九月二十七日)の豊橋競輪S級決勝は、佐々木堅次(福島・113期)-新山響平(青森・107期)-成田和也(福島・88期)-阿部力也(宮城・100期)の北四人結束に対して、山田諒(岐阜・113期)、加賀山淳(千葉・94期)、畑段嵐士(京都・105期)の三人はそれぞれ単騎。大ざっぱに括れば「四人組の二段駆け」対「孤軍の自力」対「孤軍の自力」対「孤軍の自在」といったところで、なかなかに悩ましく、なかんずく「自在」の畑段がワカラナイ。
昨日の青森記念は「青森」の坂本貴史の番手捲りで「福島」の佐々木雄一が優勝。今日の豊橋がもし、「青森」新山響平の番手捲りで「福島」成田和也の優勝だったとしたら、――な、いつもいってるだろゥ、競輪は伝染るのよ。
Wの声が聞こえてきそうだ。
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