真夏のほんの一瞬の出来事です。

私の家の近くに、地元の選手が街道練習をする道があります。

選手がもがく道だけあってアップダウンの連続で、平坦な場所はほとんどありません。


数年前の真夏の夕方、その道を原チャリで走っていると、前方のきつい上り坂で必死にもがいている、とある選手の姿がありました。

サウナのような熱気を切り裂く、特徴的な岩石のような肉体。

西日を浴びて輝く大きな背中は、いささか神々しくもありました。

原チャリで追い越すと、バックミラーの中で普段のお人好しな顔とは正反対の、レース中と見紛うような険しい表情を浮かべています。

滝のような汗を滴らせ己を激しく追いつめる姿は、近寄りがたい気迫に満ちていました。

過酷な練習が実を結んで、近い将来G1で活躍する日が必ず来ると信じています。


頑張れ、鈴木雄一朗！