昔は勝負レースと言えば敗者戦、所謂「負け戦」だった。
と記せば反論もあろうか。
九人全員が本気になる(この表現も「誰かさん」には叱られそうだが)準決や特別競輪の勝ち上がりより、比較的無理をしない敗者戦から「打てる」競走が選ばれた。◎〇の車券にドカンと大金が賭され、低配当のオッズとなり、穴党にとってもちょっとずれれば好配当だと「買いたくなる」該当レースと意識されれば、相乗効果で売上は上がる。
誰が勝つかワカラナイ=誰もが勝ちたい・三着以内に入りたいレースは「見る」レースで、B級だろうがロートルの一本某の敗者戦だろうが、「勝負」に面白い・面白くないは関係ない。
枠番式車券しか売っていない競輪。博打色の強かった時代の競輪の話である。
時は流れた。
三連単という賭け式が導入され、競走形態の変化(大ギヤ主流も含め)もあり、昔の丁半博打みたいな競輪は面影すらなく、今や競輪は荒れる公営競技の筆頭だ。
ま、それならそれで、そんな競輪に即した買い方を模索するしかないのだが、ドカンと買う勝負師・車券師はいなくなる。競輪の売上が低迷する最大の原因は競輪人口の減少・老齢化だろうが、ある部分で考えるに、負け戦への信頼の低下というのは確実にある。どんなメンバーでも荒れちゃうンじゃァ強い選手の「空中戦」のほうが楽しい。だけどたくさんは賭けられないけどね。となるのではなかろうか。どうしても二段駆けの誘惑に勝てない俺だが、敗者戦で車券の食欲がわくのが「番手捲り」だけでは競輪の先は暗かろう。
附記。競輪記者で飯を食いっていながらこれまた怒られそうだが、先の暗~いギャンブルに淫し続けるのも満更ではない。俺はね。
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